
「次のキャンペーン、どんな施策をやればいいかアイデアが出ない」 「クライアントや上司に施策を提案しても、『なんでそれをやるの?』と聞かれて答えに詰まってしまう」
Webマーケティングを始めたばかりの頃、誰もが一度はこんな壁にぶつかります。
センスや経験がないと、良いマーケティングはできないのでしょうか?
答えは「No」です。
百戦錬磨のプロマーケッターも、常にゼロからアイデアをひねり出しているわけではありません。
彼らは「フレームワーク」という名の「思考の地図」を持っています。
地図があれば、知らない森の中でも迷わずに目的地へ辿り着けますよね?
この記事では、Webマーケティングの現場で「毎日のように使う」、そして「一生使える」基本のフレームワークを5つ厳選して解説します。
さらに、記事の後半では「地元の居酒屋さん」をモデルにした実践的な活用事例も紹介します。
「なんとなく」のマーケティングから卒業し、論理的に勝てる戦略を立てられるマーケッターへの第一歩を踏み出しましょう。
なぜWebマーケッターに「フレームワーク」が必要なのか?

具体的な手法に入る前に、なぜフレームワークを使う必要があるのか、そのメリットを3つに整理しておきます。
1. 「抜け漏れ」を防ぎ、思考を整理できる
マーケティングには考えるべき要素が山のようにあります。
ターゲット、競合、予算、納期、ツールなど、これらを頭の中だけで処理しようとすると、必ず大事なことを見落とします。
フレームワークは「埋めるべき空欄」が決まっているため、それに沿って考えるだけで、強制的に視点を網羅することができます。
2. 業務の「時短」になる
ゼロから「さて、どうしようか」と悩む時間はもったいないです。
「現状分析なら3C」「ターゲット設定ならSTP」と、使うべき道具が決まっていれば、悩む時間を飛ばして、すぐに本質的な思考に入ることができます。
3. チームやクライアントとの「共通言語」になる
「なんとなくこれが良さそうです」という提案と、「3C分析の結果、競合がここを攻めていないので、当社はここを狙いましょう」という提案
どちらが説得力があるかは明白です。
フレームワークという共通の枠組みを使うことで、論理的に説明ができ、相手の納得を得やすくなります。
これだけは押さえよう!必須フレームワーク5選

マーケティングのフレームワークは数多く存在しますが、初心者はまず、以下の5つを順番通りに覚えてください。
これはそのまま、「分析→戦略→理解→戦術→改善」というマーケティングの業務フローになっています
【1. 現状分析】3C分析(サンシー分析)
~戦う場所と勝ち筋を見つける~
施策を考える前に、「自分たちが置かれている状況」を整理するためのフレームワークです。
- Customer(市場・顧客): 顧客は何を求めているか? 市場は伸びているか?
- Competitor(競合): ライバルは誰か? どんな強みを持っているか?
- Company(自社): 自社の強み・弱みは何か? 使えるリソースは?
Webマーケでの活用ポイント: WebサイトやLP(ランディングページ)を作る前に必ず行います。「顧客がスマホで検索しているキーワード(Customer)」に対して、「競合サイトが網羅していない情報(Competitor)」を、「自社の専門知識(Company)」で提供できれば、それは勝てるコンテンツになります。
【2. 戦略立案】STP分析
~誰に何を届けるかを絞り込む~
3Cで市場を見渡したら、次はターゲットを絞り込みます。
「すべての人」に向けたメッセージは、誰の心にも刺さらないからです。
- Segmentation(セグメンテーション): 市場を分ける(年齢、性別、趣味、居住地など)。
- Targeting(ターゲティング): 分けたグループの中から、狙う層を決める。
- Positioning(ポジショニング): 競合と差別化できる、自社の立ち位置を決める。
Webマーケでの活用ポイント: Web広告の配信設定や、SNSの発信軸を決める要となります。例えば「30代女性(S・T)」向けの化粧品でも、「高級感で売る」のか「時短ケアで売る」のか(P)によって、Webサイトのデザインカラーもキャッチコピーも全く変わってきます。
【3. ユーザー行動】AISAS(アイサス)
~ネット時代のユーザーの動きを理解する~
インターネット普及後の消費者が、商品を知ってから購入に至るまでの行動モデルです。
- Attention(注意): 広告やSNSで商品を知る。
- Interest(関心): 興味を持つ。
- Search(検索): GoogleやSNSで詳しく調べる。
- Action(行動): 購入や申し込みをする。
- Share(共有): 口コミを書いたり、SNSでシェアする。
Webマーケでの活用ポイント: Webマーケティングでは特に「Search(検索)」と「Share(共有)」への対策が重要です。「知ってもらうためのSNS広告(A)」、「検索された時の受け皿となるSEO記事(S)」、「シェアしたくなるような映える写真(S)」など、各フェーズに合わせた施策を配置するために使います。
【4. 施策実行】4P分析(マーケティングミックス)
~具体的にどう売るかを決める~
戦略を具体的な戦術(アクション)に落とし込むための、売り手視点のフレームワークです。
- Product(製品): どんな商品を?(品質、パッケージ、保証)
- Price(価格): いくらで?(定価、割引、支払い方法)
- Place(流通): どこで?(自社EC、Amazon、実店舗)
- Promotion(販促): どうやって?(Web広告、SNS、メルマガ)
Webマーケでの活用ポイント: Webマーケターは「Promotion」に目が行きがちですが、他の要素との整合性が大切です。「高級な商品(Product/Price)」なのに、「安っぽいバナー広告(Promotion)」を出しては売れません。4つの要素がチグハグになっていないかを確認するチェックリストとして活用しましょう
【5. 改善・運用】PDCAサイクル
~Webマーケティング最大の武器~
計画し、実行し、結果を見て改善する。この繰り返しこそがWebマーケティングの神髄です。
- Plan(計画): 仮説を立てて計画する。
- Do(実行): 施策を実行する。
- Check(評価): 数字を見て検証する。
- Action(改善): 次の一手を打つ。
Webマーケでの活用ポイント: Webの強みは「結果がすぐに数字で見えること」です。チラシと違い、Web広告は出した翌日に反応率(Check)を見て、すぐにキャッチコピーを修正(Action)できます。「一度作って終わり」ではなく、「高速でPDCAを回して正解に近づける」ことこそが、Webマーケターの腕の見せ所です。
【実践編】もしも「地元の居酒屋」のWeb集客を任されたら?

理論だけではイメージしづらいかもしれません。
ここでは、「駅前の大手チェーン店に押され気味の、個人経営の居酒屋」をモデルに、5つのフレームワークをどう当てはめていくかシミュレーションしてみましょう。
あなたは、このお店のWeb担当者です。
どう戦略を立てますか?
1. 3C分析で「戦う場所」を決める
いきなり「とりあえずインスタやりましょう」と言ってはいけません。
まずは状況整理です。
- Customer(顧客): 以前は会社の宴会需要がメインだったが、最近は「少人数」や「一人飲み」の需要が増えている。「安さ」より「美味しいものを少しずつ」食べたい傾向。
- Competitor(競合): 駅前の大手チェーン居酒屋(強み:安い、席数が多い)。近くの個室ダイニング(強み:おしゃれ)。
- Company(自社): 大将が毎朝市場で仕入れる鮮魚が自慢。実は日本酒のラインナップが県内有数。カウンターの雰囲気が良い。
👉 戦略の方向性: 「安さ」や「席数」で大手チェーンと戦っても勝てません。「日本酒と鮮魚を楽しみたい少人数客」という土俵で勝負するべきです。
2. STP分析で「ターゲット」を絞る
- Segmentation: 「学生・飲み放題重視」ではなく、「30〜50代・味と質重視」の層。
- Targeting: 仕事帰りに美味しい魚でしっぽり飲みたいサラリーマンや、日本酒好きの夫婦。
- Positioning: 「ワイワイ騒ぐ場所」ではなく、「大人の隠れ家」としてのポジションを確立する。
3. AISASで「Web導線」を作る
ターゲットとなる「30〜50代」が来店するまでの動きを設計します。
- Attention(認知): InstagramやFacebookで「今日のおすすめ刺身」や「入手困難な日本酒」の写真をアップし、発見してもらう。
- Search(検索): 興味を持った人はGoogleマップや食べログで「店名」を検索する。
- ★重要:ここにメニュー写真や、店内の落ち着いた雰囲気が伝わる写真があるかが勝負!
- Action(来店): Web予約ボタン、または「今、空いてますか?」の電話ボタンを押しやすく配置する。
- Share(共有): 来店客が「珍しい日本酒のラベル」を撮影し、SNSにアップする動きを狙う。
4. 4P分析で「打ち出し方」を整える
- Product: 飲み放題コースは前面に出さず、「利き酒セット」や「日替わり刺身」を推す。
- Price: クーポンでの安売りはしない。代わりに「LINE登録で店主からのおすすめ一品サービス」など、ファン化につながる特典にする。
- Promotion: 若者向けのTikTokではなく、ターゲット層が多いInstagramや、近隣エリアへのWeb広告配信を活用する。
5. PDCAで「改善」し続ける
- Plan: 「平日夜の空席を埋めたい。夕方に『本日限定の日本酒入荷』と投稿すれば、帰宅中の会社員が反応するはず」と仮説を立てる。
- Do: 実際に17時に投稿してみる。
- Check: 投稿を見たお客さんが来たか? 「インスタ見たよ」と言ってくれたか? → 結果:反応が薄かった。
- Action: 写真が暗かったかもしれない。次はボトルだけでなく、注いでいるシズル感のある動画にしてみよう。あるいは投稿時間をランチタイムに変えてみよう。
フレームワークを使う時の注意点:手段を目的にしない

最後に一つだけ、重要な注意点があります。
それは、「枠を埋めること」をゴールにしないということです。
フレームワークはあくまで「考えるための補助ツール」です。
きれいに図を書いて満足してはいけません。
大事なのは、埋めた後に「で、結局どうするの?」という結論を出すことです。
- 3C分析をした結果、「だから、この強みをアピールしよう」
- AISASを考えた結果、「だから、ここの検索対策を強化しよう」
このように、必ず「次のアクション」に繋げてください。
まとめ

Webマーケティングの世界は変化が激しいですが、今回紹介した3C、STP、AISAS、4P、PDCAといった基本フレームワークの本質は、時代が変わっても古くなりません。
これらは、迷った時に立ち返る「地図」であり、あなたの提案を支える強力な「武器」になります。
まずは、あなたが今担当している案件や、自分自身のブログ・SNSなどを、このフレームワークに当てはめて考えてみてください。
今まで見えていなかった「勝ち筋」が、きっと見えてくるはずです。